「ありがとう5周年です」
1995.5.15:コラム…「えがお通信」第10号より
最近、私は五年前の春の数ヶ月を感慨深く度々思い出します。
無謀にも事務所を持ちたいなぁと、折に触れ不動産屋のウインドウをため息まじりに眺めて歩いた日々。日吉駅前の複雑な道路をたまたま一筋間違えたお陰で、思いがけず気に入る物件に出会ったあの日。貯金通帳を眺めたり、取らぬ狸の皮算用で電卓をたたいて葛藤した数日。やはり無理はよそうとあきらめかけた夜に見た引越しの夢など・・・。
これが一大決心をするまでの心の軌跡です。あれから五年が過ぎました。そしてこの春、マンションの契約更新も終わりの次の五年に向けてスタートしたところです。
そもそも、なぜ事務所が欲しくなったかと言いますと、その頃は大倉山記念館を借りて「母親笑顔教室」や「カウンセリング講座」など開いておりましたし、カウンセリングもそちらを借りて行っていました。そのために毎回会場を借りる手続きが煩わしかったことと、以前から夢に描いていた誰もが気楽に集まることのできる<心を休める居場所><都会のオアシス>とも言うべき部屋が欲しかったからです。私の夢はこうして実現させることができました。
それより更にさかのぼって、私を親教育を始めとする心の病の予防教育に駆り立てたもの、それは企業内教育で出会った数多くの普通の人々でした。
特に子育てをしながら仕事を続けてきたお母さんから、もっと早くこの教育を受けたかったと言われたり、男性管理職の人からは、なぜ今まで家庭や職場で人間関係がうまくいかなかったかがわかったと感謝されることが多くありました。そして口々に言われたことは、一人でも多くの人々にこの教育(交流分析、カウンセリング・マインドなど)を教えてあげて欲しいということでした。こうした言葉の数々が、私のライフワークとも言うべき現在の活動へとつながってきたのです。
五年間で活動もかなり充実してまいりました。今となっては、オープンの頃の「支払えなくなった時いつでも止めればいいわ」など、軽々しく言えなくなってしまいました。CHRで学んだ人の数も相当数になりましたし、今年の4月からまた新しい人達が講座に通ってきてくださいます。
CHRの発展に欠かすことのできないのが、杉渓一言先生と杉田峰康先生の存在です。超ご多忙の先生方が、私の意志を理解してくださって、実に気持ちよく講座やセミナーを担当して下さっております。この先生方のお人柄が、多くの受講生を引きつけて、毎回大勢の人が参加し、喜びの声をよせてくださいます。
一方、裏方の仕事を今までどれだけの人に助けられたか知れません。CHRの仕事は、この見えないところの地味な活動が大部分で、これなしでは運営していくことができないのです。今までお手伝いしてくださった人以外にも、折に触れ「なんでも手伝わせてください」と声をかけて下さる方が多く心強いものを感じます。
こうした中から、CHRにふさわしい講師やカウンセラーが育つことが、現在の夢であり課題でもあります。「ここがなくなったら行き場所がなくなって困る!」という声に応え続けるためにもご協力下さい。
2001年5月に11年目を迎え、6年前に夢を抱いたカウンセラー養成が実際のものとなり、現在、7名の研究員が学びを深めています。