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「カウンセリングと資格」

2001.6.1:コラム…「CHRニュース」Vol.6より

●カウンセリングと資格

 最近、カウンセリングへの関心が異常に高まり、勉強をする人がどんどん増えています。大学でも少子化時代に生き残るために、人間関係の分野の学部が新設されるところが多く、他の学部より人集めには成功しているようです。それもカウンセラーになるための資格がうんぬんされるようになったからで、最も人気の高い資格である臨床心理士になるためには、大学院をでなければなれないことからきた現象だと思います。

 かつてカルチャーセンターでカウンセリングを学ぶ人の中で、カウンセラーを目指す人はほんのわずかでした。ほとんどの人は自分のための勉強で、学んだことで生きるのが楽になったとか、家族関係がよくなった、または良いお友達と出会えたという喜びの声を多くききました。学ぶほどにカウンセリングがわかり、恐さを知りとても自分には向かないと最初はカウンセラーを目指していた人が断念することも多々ありました。最近は、最初からカウンセラーを目指す人が増え、カルチャーを終えた後、資格取得のため大学院に行く人もでてきました。

 比較的とりやすいことから、産業カウンセラーの養成講座も盛況で、毎年大量の資格取得者が増え続けています。そのほかにも様々な団体が認定する資格が沢山あり、本当に役立つ資格は何なのかわからなくなってしまいます。

 もともとは臨床の現場で働くセラピストの地位が医者より低かったことから、現場の要請からできたとも言われますし、人の心を扱う大切な仕事の分野で、カウンセラーとして活躍する人たちの質の向上を目指したともきいています。

●資格と現状

 私の知るところ資格をもっても即仕事に結びつくとは限らず、資格がないと何もできないかというと現段階ではそうともいえずといったところでしょうか?質の問題でいえば、相変わらず学会や資格問題とは何ら関係ないところでカウンセラーとして相談活動をしている人はありますし、資格がないからいい加減かといえばそうではなく、しっかりした人はあります。もちろん「本当に大丈夫かしら」と不安を抱かせる人のあるのは事実ですが。特に私の仕事の業界では研修講師が必ずしも資格をもっている訳ではないのですが、長年のキャリアでカウンセリング・マインド研修はできるわけで、産業カウンセラーの資格を持っている人より優れた人は沢山いらっしゃいます。

 ただはっきり言えるのは、世間に資格のことがかなり知れて、中身より資格で人を見る傾向はあります。人間の本質を見る目が無い人や自信のない人には一つの目安になるのでしょう。カウンセリングの学習は大切ですが、人間性を磨くことは二の次の資格に疑問を抱くのは私だけではないと思います。

●CHR研究所の現状

 時々カウンセラーの募集に協力を依頼されることがあります。今年はある出版社の関連企業から電話教育相談員の要請がありました。先方の条件を満たすことはもちろんですが、私が推薦する第一の条件は人間性です。

 今回は長年CHRで勉強を続けている人の中から6名に受験の紹介をしました。全員が合格するわけではありませんので、落ちることも覚悟で面接に行ってもらうわけですが、これも貴重な体験ですので積極的にチャレンジしてもらいたいと思いました。みなさん謙虚な人ばかりで自分を売り込むことは苦手な人たちです。結果は飯島晶子さんと長澤恵さんの2名が採用され、4月から仕事につかれました。

 先日先方の担当者がお礼に見えました。今回3名が採用されたのですが、1名は教員経験者、そして2名がCHRからでした。何箇所かに声をかけて沢山の人が応募されたということをその時知りました。そして「CHR研究所から来られた人には共通点がありました」といわれたのです。何かと思いましたら、「皆さんお会いして“ほっと”させるものを感じました」と。とてもうれしい言葉でした。私が一番大切にしていることです。これは理論や方法を学んだだけでは身につかないことです。

 一方、札幌から毎月勉強のため来られている高橋真理子さんが私の友人の会社に講師として採用され、北海道でも講師の仕事ができるようになりました。

 一人でも多くの人がCHRで学んだことを生かせる仕事につけることを願っています。子供が危ない現在ぜひ草の根的な活動に目を向けていただければと思います。資格は後からついてくるのではないでしょうか。

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